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298. 地名の発音について
【日時】 2007/10/14 14:24
【名前】 老婆心

韓国語の翻訳と講師をしている者です。
地名の漢字を探す際に利用させていただいています。これまでは日本加除出版の「大韓民国地名便覧」を利用していたのですが、現在手持ちのものは2001年版で最新の変動が反映されていないので、その際にときどき貴サイトを拝見しています。
で、今、ふと地名の発音のカタカナ表記の原則に誤っている部分のあることに気づきましたので報告させていただきます。
通常の韓国語の発音法則では「ニウン」と「リウル」が隣り合うと「リウルリウル」の発音になります。すなわち「山林」は「サルリム」となるわけです。
ところが地名の場合はこの法則は原則として当てはまらず、「イウン」と「リウル」や「ミウム」と「リウル」が隣り合ったときのように後ろの「リウル」が「ニウン」で発音されるのが一般的です。ですからたとえば忠南天安市稷山邑「三隠里」は表記のように「サムルリ」とは発音されず「サムンニ」という発音になります。実際にそんな地名があるかは知りませんが「三千里」も普通名詞なら「サムチョルリ」ですが、もしそういう名前の里であるなら「サムチョンニ」です。イントネーションも前者は平板ですが地名の場合は「里」の部分を若干下げ気味に発音すると地名っぽく聞こえるでしょう。おそらく話していてそれが一般名詞なのか地名なのかがすぐわかるよう、自然発生的に生まれた運用上の工夫なんじゃないかと思います(根拠はありません。たんなる思いつきです)。
この原則の例外としてよく知られているのは釜山市の広安里でこれは「クァンアンニ」ではなく「クァンアルリ」と発音するのが一般的です。ただし地下鉄の駅名は「広安」なので「クァンアン」ですが。

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Re: 地名の発音について ( No.3 )
【日時】 2007/10/14 21:23
【名前】 ハラボジ

わかりやすい解説、ありがとうございます。

ただ、必ずしもこのようにはっきり言えない場合も
ありそうですね。

「分量(분량)」は、[분냥]と発音するようですし、
権力(권력)は、[권력]とそのまま発音しますが、
公権力(공권력)になると[공권녁]という発音に
なってしまうんですね。

これは、接尾辞云々では、なかなか説明できません。

韓国語、特に発音は、奥深いですね。

Re: 地名の発音について ( No.4 )
【日時】 2007/10/15 00:57
【名前】 kajiritate webmaster

老婆心さん,ハラボジさん,書き込み有難うございます!(^^)
なぜか急に掲示板が活気付いてきて驚くばかりです!(^^;

「~里」という地名の場合,里(리)の直前にㄴ音がある場合は流音化するのか,というお話で,
この場合は流音化せずㄴ音の連続となるのが原則,というのが老婆心さんのご指摘の内容だと理解しておりますが,よろしいでしょうか.

この点については,初めは私も老婆心さん同様の考えで,実際に地名一覧のフリガナも「~ンニ」としておりました.
ところがその後,「国立国語院」の「묻고 답하기」掲示板にて同様の質問を見かけた際,流音化するのが原則だとの回答がありましたので,「~ルリ」とフリガナを改めました.
そこで検索すると同様の質問と回答が複数あるため,当時どれを見たのかまでは覚えておりませんが,国立国語院の回答はどれも流音化する立場で一貫していました.
掲示板の各書き込みのURLを知る方法が分からず具体的なアドレスは示せませんので,「묻고 답하기」の検索機能にて「청산리(靑山里)」などのキーワードで内容の検索をなさってみてください.
http://www.korean.go.kr/06_new/question/qna_list.jsp (묻고 답하기)

これにはさらに後日談がありまして,今年発刊された「韓国語Q&A200」という書籍に収録されているトピックのひとつに,
正確な題名は忘れましたが「『新炭里(신탄리)はどう発音するか』というものがあり,結論を申しますと[신탄니]となっていました.
この本を見た後,念のためもう一度「묻고 답하기」で確認してみましたところ,国立国語院の見解が揺れてきていることに気づきました.

比較的新しい同様の質問には,流音化するのが旧式,流音化せずにㄴ音の連続で発音するのが新式で,どちらも誤りだとはいえない,という旨の回答がされています.
これは,現実的にはすでにㄴ音の連続で発音するほうが優勢になっており,国立国語院としても原則を貫く立場から
現状を認める立場に転換せざるを得ない状況になってきている事を示しているのではないか,と考えております.
ただし回答には,「本里(본리)」「縣(県)里(현리)」のように「里」を含めて2文字の場合は,現在でも[볼리]や[혈리]のように流音化させて発音するのが一般的だとの指摘も見られました.

これを見て再び地名一覧のフリガナをどうするか悩んだのですが,今のままでも間違いではありませんし,面倒なのでそのままにしています(^^;
長くなりましたが,地名一覧のフリガナ表記は上述の過程を経て今のところ「~ルリ」としているもので,単純に流音化の原則に従った結果ではないことをご理解頂ければと思います.

最後に,ハラボジさんが例示された語句の発音に「標準国語大辞典」に示されている発音とは異なるものがありますので,下に示しておきます.

http://krdic.naver.com/detail.nhn?docid=17861600 分量(분량) ×[분냥] ○[불량] (原則どおり流音化)
http://krdic.naver.com/detail.nhn?docid=3206600 公権力(공권력) ×[공권녁] ○[공꿘녁](「権(권)」が濃音化)

標準発音を辞書で調べるのが面倒な場合は,釜山大学の「우리말 배움터」などに設置されている「표준발음 변환기(標準発音変換器)」が便利です.
ただし,「신탄리」などの「里」がつく3文字以上の地名は,「里」を接尾辞とみなして[신탄니]と表示されるようです.
http://164.125.36.48/PronunCOM/pronunc/pronunc.htm

Re: 地名の発音について ( No.5 )
【日時】 2007/10/15 01:30
【名前】 老婆心

kajiritate webmasterさま

なるほど。詳細に検討したうえでの判断だったのですね。
単細胞なもので、スッパリと「誤り」だなどと決め付けてしまい、申し訳ありませんでした。
私は研究者でも学者でもなければ専攻さえしたことのない翻訳屋にすぎません。幼いころからの国語(日本語ってことよ)好きと大人になってから学んだ韓国語がラッキーなことにメシのタネになっています。

日ごろ見聞きしている経験が乏しい財産というのが現実ですが、経験上、地名の「里」が流音化しているのは上記のごとく釜山の「広安里」しか知りません。同地名も現在は当然「里」であるはずもなく(現在は「広安洞」です)、人びとが慣用的にそう言っているだけです。
で、それ以外に地名を流音化して発音している人に出会ったことがありませんし、KBSニュースのようなことばの使い方に厳格なメディアでも流音化していません。
翻訳をやっている者の習い性なのかもしれませんが、理論云々はさておき人がよく使っている表現が生きた、ライブな、使える表現だと思うのです。

流音化は正しく専門家もそう言っている、と聞けばさようですかとしか言えないのですが、少なくとも本サイトが入門者向けのガイドであるならば人びとがほとんど使っていない発音を「これが正しい」と掲げ、それ以外を示さないのは不親切ではないでしょうか。入門者であるならば音韻規則や音変化に不慣れな人もいるでしょうし、ハングルよりカタカナのほうに目が行ってしまう人もいることでしょう。そういう人たちが流音化のカタカナ表記を信じてそれ以外の発音を知らないまま、ということになったら残念ですよね。
「どちらの言い方もある」以上は両方を示してはいかがでしょうか。
まあ、めんどくさいのはわかりますが。

ハラボジさんの発音についてはkajiritate webmasterさんのご指摘のとおりです。
「分量」を「プンニャン(분냥)」とする発音は耳にしたことはありませんが、確かに「公権力」は「コンッコンニョク(공꿘녁)」となって「権力」の「クォルリョク(궐력)」のように流音化してませんね。面白い指摘です。
もともとは「公」+「権力」だったから「権」が濃音化したのでしょうが、やがて接尾辞のつく語にありがちな「2字」+「1字」のかたちのほうが優先されてゆき「公権」+「力」で区切れ目が設定されてしまったんではないでしょうか。「力」というのも接尾辞としてよくある語なので(決断力とか)こんがらがったのかもしれませんね。
Re: 地名の発音について ( No.6 )
【日時】 2007/10/15 05:21
【名前】 kajiritate webmaster

老婆心さん,書き込み有難うございます.
ご理解していただいてとても嬉しいです(^^)

ご指摘を受け,両方の発音を併記する形に変更しましたのでご確認ください.面倒くさがっていてはダメですね...(^^;
私が見る限りではちゃんと動作していますが,どこかに不具合が出ているかもしれませんので,おかしな点がありましたらまたご指摘ください. m(__)m
もちろん,老婆心さん以外の方からのご意見も大歓迎です!(^^)
Re: 地名の発音について ( No.7 )
【日時】 2007/10/16 02:17
【名前】 うにうに

こんばんは。若いかどうか分かりませんが(笑)参加させてください。

私がよく参考にさせてもらっている,배주채・지음「한국어의 발음」(삼경문화사, 2003)にかなり詳しい説明がありましたので(p.216,270-271,320),適宜要約したり補足しながら和訳して紹介します。箇条書きの番号も原文にはありません。

(1-1) 2音節の漢字語のㄴ-ㄹでは例外なくㄴの流音化が起きる[ㄹㄹになる]。
例:観覧 관람[괄람],論理 논리[놀리],本論 본론[볼론],分類 분류[불류],新郎 신랑[실랑],連累 연루[열루],年輪 연륜[열륜],原来 원래[월래],人力 인력[일력],進路 진로[질로],燦爛 찬란[찰란]

(1-2) 2音節であっても固有語では起こらないが,それはパッチムㄴ+初声ㄹとなるような単語の組み合わせがないからである。

(1-3) 外来語の場合は流音化する語と,ㄹが鼻音化してㄴㄴになる語とがある。(3音節以上の例も挙げた)
●流音化の例:Monroe 먼로[멀로],Henry 헨리[헬리],Finland 핀란드[필란드], skin lotion 스킨로션[스킬로션], Heinrich 하인리히[하일리히], Greenland 그린란드[그릴란드],online 온라인[올라인]
●鼻音化の例(前の音節のパッチムがn以外のも含む):Homerun 홈런[홈넌],one-room 원룸[원눔],genre 장르[장느], download 다운로드[다운노드], rock'n roll 로큰롤[로큰놀], McKinley 매킨리[매킨니], San Remo【サンレモ音楽祭で有名なイタリアの町】산레모[산네모],sunroof 선루프[썬누프 語頭は濃音化], stainless 스테인리스[스테인니스], in-line skate 인라인스케이트[인나인스케이트],Teheran路 테헤란로[테헤란노/테에란노],辛ラーメン 신라면[신나면]
なお,Greenlandやonlineは,流音化が一般的だが,鼻音化させる人もいる。

(2) 2音節+1音節の構造で3音節語が作られるときにㄴとㄹが出会うと,ㄴの流音化ではなくㄹの鼻音化が起こる[ㄴㄴになる]。たとえば「意見欄」의견-란は[의견난]と発音される。
例:意見欄*,壬申乱*,生産量*,決断力*,公権力*,批判力,推進力,判断力,動員令*,相見令*,循環路,横断路*,壬申録,楽観論,悲観論,循環論,礼讃論,音韻論,二元論*,貸館料,入院料*,球根類*,保安林
【引用者注 *が付いている語は,「標準発音法」第20項に例として挙げられている語で,それ以外は本の筆者が追加した語です。また,数が多いのでハングル表記は省きました】

(3) ただし,「論理的」논리-적[놀리적],「連陸橋」연륙-교[열륙꾜]のように,2音節語の中ですでに流音化が起こる場合や,「再分類」のように「1音節+2音節」で作られる単語の場合は,この限りではない。

(4) また,次の場合も2音節+1音節の境界で例外的にㄴの流音化が起こってㄹㄹになる。
大関嶺 대관령[데괄령],摩雲嶺 마운령[마울령],摩天嶺 마천령[마철령],神仙炉 신선로[신설로],広寒楼 관한루[관할루],摩天楼 마천루[마철루]

(5) 行政区域名の「里」がつく3音節語では,流音化が伝統的な発音で,鼻音化は新しい形である。
例:(古い形/新しい形の順に示す)新川里 신천리[신철리/신천니],五山里 오산리[오살리/오산니],老斤里 노근리[노글리/노근니],豆原里 두원리[두월리/두원니]
ただし,2音節ではつねに流音化が起こる。
例:新里 신리[실리],県里 현리[혈리]

以上です。長くなったので,このへんでいったん切ってコメントします。
Re: 地名の発音について ( No.8 )
【日時】 2007/10/16 02:52
【名前】 うにうに

上で紹介した本は,新宿の韓国広場というお店で買ったのですが,1階がCD
やビデオ,DVDなどの売場で,2階が書店になっています。
決して広くはなく,しかも最近は韓流ブームの影響で,手前側の半分ぐらいが韓国スター関係の本や雑誌などで占領されてしまい,韓国語の本はさらに少なくなりました。
そんな中で,語学書のコーナーに何気なく置いてあったのがこの本です。
前に別の所でも紹介したような気がしますが,ハングルの正書法と発音との関係を,時には歴史的視点から,時には音声学的視点から,多面的に解きほぐしていく,とても興味深い本です。

流音化にしても鼻音化にしても,その他,発音にせよ文法にせよ,どんな学習内容だって,最初に学ぶときはたいてい大まかな基本原則を学び,細かい例外は後回しになります。
最初から細かいことをやっても混乱するだけですからね。
でも,ひととおり基本を学習した人が折に触れて参照できる参考書があるといいなあとも思います。
英語に関しては,高校生用の英文法の参考書がいろいろ出ていますが,韓国語はなかなかないですよねえ。
そのうち文法は,「外国人のための韓国語文法」(例の大きさが微妙に違う本の1冊目)とか,韓国の高校の国文法教科書を和訳したのとか,それなりに出ていますが,発音については今のところ,この本が貴重な参考書になっています。
(どなたか,日本語訳を出してくれませんかねえ。案外売れるんじゃないかと思いますが)

上の例で,(1-3)では流音化と鼻音化の狭間でかなり揺れていることが分かります。
使い分けの法則のようなものは書かれていませんでした。
何となく,「どちらのほうが言語意識から見て不自然さが少ないか」で決めているものが多いようにも感じられます(たとえば,FinnandとFillandではどちらがましか,ということ)。ダウンロードとかサンルーフは,自分にはㄹㄹのほうが自然に感じられますが,ネイティブスピーカーは違うのかも知れません。

地名の「里」は,管理人さんが書かれたように,流音化から鼻音化に移行してきたようですね。

ところで,「標準発音法」でも鼻音化の例として挙げられている「公権力」ですが,(2)の例として挙げられていることから考えると,ネイティブスピーカーは「公権+力」と意識しているように思われます。
試しに「標準国語大辞典」を引いてみると,ハイフンが付いていて,なんと「공권-력〔公權力〕」と書かれています。
(Naver版にはハイフンは表示されません)
もっとも,その説明には「국가나 공공 단체가 우월한 의사의 주체로서 국민에게 명령하고 강제할 수 있는 권력.」となっていて,最後に「권력」とあるように,語構成はやはり公+権力のほうがいいように思われます。
(確かに公権という言葉もありますが,「公権の力」とはちょっと意味が違うので。)

ちなみに広辞苑では「こう-けんりょく【公権力】」でした。

ここまでお読み下さった方,長々とお付き合いいただきどうもありがとうございました。
Re: 地名の発音について ( No.9 )
【日時】 2007/10/16 22:53
【名前】 kajiritate webmaster

うにうにさん,いつも詳しい情報を書き込んでくださって本当に有難うございます(^^)
今回もとても勉強になりました!!

うにうにさんはすごい資料を沢山お持ちのようですね...すべての語学学習者のためにご自宅を図書館として開放すべきだと思います!(^^;
私も有用な資料を探し出す確かな目を磨ければなぁと思いつつ,こちらも語学力と同じく簡単に身につくものではないですよね...
でもいつかはハングルのあふれる書店でいい書籍を選べるようになりたいです!(^^)

特に今回,外来語の流音化・鼻音化の例はとても興味深かったです! ひとつひとつ覚えるしかないようですね...
悩みの種が一気に増えそうなので,今後このような言葉にはあまり遭遇したくないです...(^^;

「公権力」の切れ目がどこにあるのか,というのも全く考えたことがありませんでした.
韓国語を勉強していると,韓国語はもちろん日本語にも知らない点が沢山あることが見えてきて自己嫌悪になることも...
最近はまた勉強をサボりぎみなんですけどね...(^^;

これからも宜しくお願いします m(__)m
Re: 地名の発音について ( No.10 )
【日時】 2007/10/18 00:27
【名前】 老婆心

kajiritate webmasterさま
さっそく拙意を反映してくださいましてありがとうございます。
こんなに素早く動いてくださるなんて、大変だったのでは?

うにうにさんご紹介の本、ほしくなっちゃいますね。
用例を見ているだけでも楽しい! 大関嶺とか神仙炉、広寒楼なんかはそうそう、確かにそうだよねーと思いました。
外来語の流音化、鼻音化についてはホント、ネイティブの感覚はナゾですよね。インラインスケートやステンレスはなんとなくわかるけど、うにうにさんのおっしゃるとおりダウンロードやサンルーフは流音化のほうが自然だと思うのはやっぱり私も日本人だからなんでしょうか。
ただ、やっぱり本に書いてあることはあくまでも理論なわけだけれど、1-(3)は例示のみで分類のルールが示されていないので、「これが理論だ」というだけの説得力がありません。ここに示されてない語はどちらになるのかわからないし、ルールがないなら誰が決めたんだってことになって、いまひとつかゆいところに手が届いていない感があります。
ワンルームは? 私が耳にした限りでは「월룸」と言ってる人のほうが多いような気がします。ダウンロードは会話では「다운로드」なんて言う人はほぼいないので(みんな「다운 받다」って言いますよね)目で見たことはあっても耳で聞いた記憶がありません。
ナゾはますます深まるばかり…

Re: 地名の発音について ( No.11 )
【日時】 2007/10/18 01:59
【名前】 kajiritate webmaster

老婆心さん,書き込み有難うございます(^^)
これからも地名一覧のページをお役立て頂ければと思います.

私は独学で勉強を続けていて実践面が決定的に不足しておりますので,
老婆心さんのような経験豊富な専門家の方が当サイトにいらして下さることをとても有り難く感じております.

この掲示板に書き込んで下さる方はそれほど多くはいらっしゃらず,
質問が寄せられたときに私が答える以外にないこともしばしばで,マヌケな返事をすることも多いと思いますので,
そのような時はズバリご指摘頂ければと思います m(__)m

お時間があるときは,地名一覧だけでなくこちらの掲示板もご覧下さるよう宜しくお願いします.
もちろん,書き込みも大歓迎です!(^^)
Re: 地名の発音について ( No.12 )
【日時】 2007/10/20 03:41
【名前】 老婆心

流音化か鼻音化でもうひとつ思いつきました。

「漢拏山」って何の疑いもなく「할라산」と発音してきたし、確かに韓国人もそう発音していますが、共和国では「한나산」と書いて「한나산」って発音する(そう書くんだから当然か)んですよね。
共和国というと語頭のㄹが落ちないという規則は有名ですが、語中のㄹが落ちるってゆーか流音化にあらず鼻音化するとは…と、その事実をはじめて知ったときは結構驚きました。

例の核疑惑でよく登場する「寧辺」は我がニッポンのNHKでは「ニョンビョン」と共和国式の発音を採用していますね。韓国ではもちろん「영변」でヒル国務次官補は「yeongbyeon」と発音しています。
この「寧」という字は、中国語や日本語の発音から類推するに本来ㄹがあったのが落ちたというわけではなさそうです。本来ㄹがあるなら共和国では「령변」というはずですし。
でも李御寧は「이어령」です。そのへんが私的には長年のナゾです。

もっとも知り合いに「任」さんなのに英文が「Lim」になってるヤツもいて、アンタそりゃ間違ってるよ「Lim」になる「임」さんは「林」さんで、キミの「임」は「Lim」にはならないよって言ったんですが、オレがそうだって言ってるんだからそれでいいんだよ、なんて居直られたことがあります。
もう原則もへったくれもなし、なんでしょうか。

Re: 地名の発音について ( No.13 )
【日時】 2007/10/20 05:00
【名前】 kajiritate webmaster

老婆心さん,書き込みありがとうございます!(^^)

NAVERの漢字字典で「拏」を調べてみたんですが,本来は「나」という読みしかないようです.
http://hanja.naver.com/hanja.naver?where=brow_hanja&id=8556

手持ちの電子辞書(D26)の玉篇だと,読みは「나」だけしか載っていませんでした.
なので,「漢拏山」のように「拏」を「라」と読むのは特殊な場合で,北では正式な読みの「나」しか認めていないのかも...?
老婆心さんの書き込みで初めてこのことを知り驚いております!!


一方,「寧」は「녕」と「령」の2つの読みがあるようです.「령」という読みが特殊というわけではなさそうです.
http://hanja.naver.com/hanja.naver?where=brow_hanja&id=8604

でも,語頭に来ると南では頭音法則のためどちらも「영」になってしまうので,元々どちらなのか見分けがつきませんね(^^;

「任」さんなのに「Lim」と綴るというお話は面白く読ませていただきました!(^^)
至極当然なツッコミを入れられても我を張って素直に認めないところがお国柄を表してますよね...困ったものです(^^;
Re: 地名の発音について ( No.14 )
【日時】 2007/10/20 11:26
【名前】 ハラボジ

韓国語を学問として勉強していない私にとっては、難しすぎる話題で、
ついていけそうにないのですが。
ちょっと気づいたことだけ。

「漢拏山」を「할라산」と発音するのは、表記が、どの地図を見ても
「한라산」となっているので、当然かな、と思っていました。

なお、私の持っている電子辞書(sharp、RD6800)の漢字玉篇では、
「나」でも「라」でも、「拏」はあります。

因みに、「智異山」は「지리산」と表記し、発音ももちろん[지리산]
です。 これは、昔は「지이산」と表記し、[지이산]と言っていたが、
発音し難いので[지리산]と言うようになり、表記も「지리산」に
なった、という話を聞きました。

人名の頭音も、分かり難いですね。
「羅」さんは、(韓国では)「나」さんと呼びますが、名刺の英文は
「RA」となっている人が多いです。
それなら、「아」さんではないか、といいたくなるのですが。
でも、辞書の漢字玉篇では、「나」も「라」もあるので・・・。

発音があって表記ができたのか、表記を自然に読めばこうなると
言うことなのか、考えるだけ無駄かなと思いつつ、ついつい
気になってしまいます。


Re: 地名の発音について ( No.15 )
【日時】 2007/10/20 13:25
【名前】 hangul100

でも日本語の名前のように、好きな読み方をつけられるのが
外国の方にとっては、一番難しいような気もしますが・・・
かつてトリビアの泉に応募して、ボツになったネタなんですが、
韓国では名前は5文字以内と決められてるそうで、
とても自由な日本と文字数すら決まってる韓国で対照的だなと思いました。


Re: 地名の発音について ( No.16 )
【日時】 2007/10/20 14:43
【名前】 kajiritate webmaster

「漢拏山」や「智異山」の読みについて調べていたら,「滑音調[euphony](現象)」というのを見つけました.
http://krdic.naver.com/detail.nhn?docid=43238600

それについて書かれているブログの記事を見つけたんですけど,文章が長くてまだ読んでません...(^^;
これを読めば謎が解けるかも!?
http://blog.naver.com/hope4the_/60002190914

hangul100さんが仰るように,日本人の名前は読み方がいろいろあって混乱しますよね...
逆にローマ字表記では,韓国人のように人によって規則がまちまちということはないんですけどね(^^;
トリビアといえば,韓国語版キューティーハニーのことを思い出してしまいます(^^;;;
Re: 地名の発音について ( No.17 )
【日時】 2007/10/20 23:07
【名前】 ハラボジ

なるほど、現象の名前まであるんですね。
勉強になります。

「これは例外!!」と片付けていたようなことも、ちゃんと分析して、
体系化しようとしている人がいるのだと知って、感心しました。

このように、ルールがわかれば、何かすっきりして、分かったような
気になります。
しかし私なんかは、これが理解できたとしても、なかなかスラスラ話したり
書いたりできないのですが。

韓国人は、このようなこと理解してるのかな?と思ったりもします。

昔、韓国に駐在していたとき、韓国人に日本語を教えたことがあります。
そのとき、「ら抜き言葉」について、質問を受けました。
「上一段活用、下一段活用においては、『ーれる』でなく『ーられる』
にしないと・・・」などと教え、彼らも満足しましたが、はたして、こんな
教え方でいいのか、もっと自然に正しい日本語が出てくるような教え方は
ないのか・・と思ったおぼえがあります。

いま、自分が外国語を習う立場になってみると、やはり、文法や規則が
気になります。

それにしても、この掲示板は、ほんとに勉強になります。
Re: 地名の発音について ( No.18 )
【日時】 2007/10/21 14:50
【名前】 kajiritate webmaster

この件について国立国語院の「묻고답하기」掲示板でも調べてみました.
簡単にまとめると次の通りです.

・以前は,例えば「困難」の読みが곤난→곤란となるような現象を「滑音調現象(ユーフォニー現象)」と言っていた.
・しかし,このような現象は流音化などとは異なり,同一の音韻論的環境を備えたすべての単語に起こる規則的な現象ではない.(起きるかどうかは単語による)
・なので,現在は「俗音」といい,「俗音」とは広く使用されている「習慣音」を指す.
・「ハングル正書法」の第52項では,「漢字語で本来の音でも発音し,俗音でも発音するものは,それぞれその音に従って表記する」と定めている.

日本でも「反応」の「応」を「のう」と読んだり,「読経」の「読」を「ど」と読んだり,音が変わってしまい音読み(漢音,呉音,唐音,慣用音)のどれにも属さないものがありますが,「俗音」はその韓国語版だと言えそうな気がします.「反応」は「連声(れんじょう)」のひとつと言えるのかもしれませんが,「読経」については規則性があるのか分かりません.
http://www.excite.co.jp/dictionary/japanese/?itemid=21604300 連声

「標準国語大辞典」では,「俗音」で読まれる漢字には右に「▽」(NAVER辞典では「▼」)がついています.
http://krdic.naver.com/detail.nhn?docid=41500600 한라산 漢拏▼山
http://krdic.naver.com/detail.nhn?docid=35629300 지리산 智異▼山/地理山

「곤난」をその辞書を引くと,「『곤란』の誤り」の他「『곤란』の北の言葉」という説明もありますので,老婆心さんからお教え頂いた「한나산」と合わせて考えると,南でいう「俗音」を北では認めていないのかもしれません.漢字を捨てた北でむしろ本来の漢字音で綴られるとは...(^^; 北の語文規定については知らないので今後調べてみようと思います.北では「智異山」をハングルでどう綴り,どう発音するのか気になるところです... 最も,上に示したとおり「智異山」には「地理山」という表記もあるようです.

このような音の変化は漢字語だけでなく,この辞典によると例えば「할아버지」の語源は【←하-+-ㄴ+아버지】となっており,これは「大きい」などの意味の古語「하다」の語幹+形容詞の連体形を作る「ㄴ」が,「아버지」の前についたものだと思います.この「ㄴ」が現在では「ㄹ」に変化しています.これも以前「滑音調現象」と呼ばれていたものに含まれるようですが,このように漢字語の「俗音」相当のものを固有語の場合はどう言うのかは分かりませんでした...
Re: 地名の発音について ( No.19 )
【日時】 2007/10/30 23:48
【名前】 うにうに

こんにちは。いくつかまとめてコメントします。

最初に細かい話で恐縮ですが…
日本語の漢字音の場合,本来の中国語の発音との対応関係から外れている読み方を「慣用音」と言っているようです。
たとえば,本来は「シュ」である「輸」が,つくりの部分に引きずられて「ユ」になるとか(韓国語では수ですよね),「立(リフ)」が「立体」「立法」など促音化して使われることが多いので,ついに単独でも「リツ」と読むようになるとか,といったものが慣用音の例として挙げられると思います。

>漢字を捨てた北でむしろ本来の漢字音で綴られるとは...(^^;

というか,むしろ漢字を使わないからこそ,本来の漢字音を生かして,ハングル一辺倒の表記の中に「漢字音らしさ」を出そうとしているのかもしれません。
漢字音における頭音法則の撤廃(語頭でもㄹやㄴを表記し,またその通り発音する)も,同じような意味合いがあるのかなと思っています。

>北では「智異山」をハングルでどう綴り,どう発音するのか気になるところです

私も気になります。韓国の出版物に比べると,北朝鮮の出版物はまだまだ手に入れにくいですね。

>李御寧は「이어령」です。そのへんが私的には長年のナゾです。

例の『韓国語の発音』を見てみると,この例も出ていました。
녕となる例:李東寧,李崇寧,李彙寧,安寧,丁寧など
령となる例:李御寧,武寧王,遼寧省など

「本来の音は녕であるが,漢字音では初声にㄴよりㄹがよく出てくるので,漢字語の2文字目以降でつい誤ってㄹと書かれるようになった例がある。諾(낙/락),難(난/란),寧(녕/령),怒(노/로)がそうである」と説明されています。
逆のパターンが「論」で,本来론ですが,「議論」では의논ですね。

>うにうにさんご紹介の本、ほしくなっちゃいますね。
>用例を見ているだけでも楽しい!

そうなんですよ。ここまで実例が豊富な参考書って,なかなかないですからね。
韓国の国語辞典を引いても,「外来語は発音や長音表記をすべて省いた」なんてなっていたりしますし。
何年(十何年?)か前に「辛라면」を日本の店で初めて見たとき,「シンナミョン」か「シルラミョン」か迷ったのですが,それがきちんと例に載っていて,ちょっと嬉しくなりました。
しかも,巻末の索引が80ページ以上あって,例として挙げた語が全部出ているのです。

こんな本です。
http://www.yes24.com/Goods/FTGoodsView.aspx?goodsNo=1474145
http://www.kyobobook.co.kr/product/detailViewKor.laf?ejkGb=KOR&mallGb=KOR&barcode=9788988408223&orderClick=LAG
Re: 地名の発音について ( No.20 )
【日時】 2007/10/31 13:03
【名前】 kajiritate webmaster

うにうにさん,いつも詳しい情報ありがとうございます!(^^)

お教え頂いた本は私も是非入手したいです!
でも日本では購入できても割高でしょうし,だからといって韓国に買いに行くのは
もっとお金がかかりますし...(^^;
こういう本が充実しているオンライン図書館があるといいんですが...

つぎに韓国に行く機会に恵まれたときは,逃さず買って帰ろうと思います!(^^)
漢拏山の発音について ( No.21 )
【日時】 2007/11/23 23:18
【名前】 うにうに

こんにちは,うにうにです。
最近,이주행著『한국어 규범의 이해』(보고사, 2005年,18000ウォン)という本を手に入れました。
韓国の各種規程やその解説とあわせて,巻末に北朝鮮の正書法や発音規則などが載っているのにひかれました。(ただ,全文が載っているだけで解説は一切ありません)

で,まず「맞춤법(1987)」を見ると,最後の方の第7章で漢字語の規定があります。

【第25項 漢字語は音節ごとに当該漢字音の通りに書くことを原則とする。
例 국가, 녀자, 뇨소, 당, 락원, 로동, 례외, 천리마, 풍모】

として,頭音法則を適用しない,北朝鮮らしい綴りが並んでいます。
なるほどな,と思って,今度は「文化語発音法(1987)」を見ていたら,こんな規定が。

【23項 パッチムと初声がㄹㄴ, ㄴㄹの組み合わせの時は,原則としてㄹㄹと発音する。
例 천리마[철리마] (他たくさん。省略)】

これは韓国でも同じなのですが,続きがあり,

【ただし,一部の固定した単語の場合は,書かれたとおりに発音する。
例 선렬, 순렬, 순리익】

え,北ではnとrが同居する場合もあるの? ちょっとびっくり。
さらに,その次に進むと,

【第24項 パッチム<ㄴ>の後に<ㄴ>が来るときは,書かれたとおりに発音するのを原則とする。
例 눈나비, 단내, 분노, 신념, 안내】

それはそうだな,と思っていると,

【ただし,一部の固定した単語の場合は,その<ㄴ>を[ㄹ]と発音する。
例 곤난[골란], 한나산[할라산]】

え~,難しい~~!
綴りはㄴㄴ, 発音はㄹㄹだなんて。
まさにこれこそ곤난です…
せめて,こういうときだけでも,漢字の原音ではなく,韓国でいう俗音で表記してくれないかなあ,と思ってしまいました。

というわけで,北では漢拏山は한나산と書くけれど,発音は南と同じ할라산のようです。
Re: 地名の発音について ( No.22 )
【日時】 2007/11/24 00:33
【名前】 kajiritate webmaster

うにうにさん,書き込みありがとうございます!(^^)
うにうにさんの資料選びの確かな目には頭が下がります m(__)m
毎回興味深い内容の書き込み,本当にありがとうございます!

結局,南北で表記の差はあっても漢拏山の発音は同じなんですね...
語頭のㄹも,共和国成立以前の年配の方々は実際にはあまりちゃんと発音していない(発音できない),
というのをどこかで読んだ気もします...

北の語文規定も見てみるつもりではいたんですが,その後特に何もやってない状態でしたので,
趙先生のサイトにまとめられているものを時間があるときにじっくり読んでみたいと思います!
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/korean/index.html (朝鮮語の部屋)

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