Re: 発音~リエゾンについて ( No.1 ) |
- 【日時】 2007/10/18 21:34
- 【名前】 kajiritate webmaster
- 冒険ダン吉さん,書き込みありがとうございます!
ご指摘の点を考える前にまず「リエーゾン(リエゾン)」という用語が 現状では2つの意味で混同されて使われていることを把握しておく必要があると思います.
第1に,「終声の初声化」や「連音化」などと同じ意味で, ある音節に初声がない(=母音で始まる)ときに その前の音節の終声がその音節の初声として発音される,というものです. 例えば,집안[지반](うちのなか)で집の終声ㅂが안の初声になることなどがこれに該当します
第2は,「n挿入(規則)」などと同じ意味で,ダン吉さんがお書きの 『複合名詞でパッチムの後に야여요유이 等々が後続すると後続した語の初声のㅇがㄴに変わる事がある。』は, これに当たります. 例えば,「집안일」[지반닐](家事)などがあり,집안+일の일の初声がㄴに変わります.
韓国語・朝鮮語で「リエーゾン」という言葉は第1・第2のどちらの意味にも使われることがあり,混乱のもとです. 東京外大の趙義成先生がご自身のサイトで公開されている「朝鮮語学小辞典」の「リエーゾン」の項を見ますと, 第1の意味で使うのは「リエーゾン」というフランス語本来の意味では間違っているので使うべきではない,という旨の説明があります. http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/cgi-bin/enc/korenc.cgi?%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%BE%E3%83%B3
ダン吉さんは今回リエーゾンという言葉を第1の意味で使っていると考え,混乱のもとの「リエーゾン」という言葉は使わずにご質問の内容を整理すると,
・일본요리(の본と요)は,「終声の初声化」が発生する일본어(の본と어)のように[일보뇨리]とすると不自然で,[일본뇨리]となる. ・これは「n挿入」が起きているためだが,この場合なぜ「n挿入」が起きて「初声の終声化」が起こらないのかが疑問. ・そうなる理由は,「n挿入」の場合にㄴ音が挿入される位置の直前にもㄴがあり,このような場合には 「終声の初声化」よりも「n挿入」が優先されるような規定が存在するからなのか?
...と仰っていらっしゃるんだと思いますが,私もよく分かりません...(^^; 今のところはそのような規定を見たことはありません. ちゃんと答えられずにすみません...どなたかフォローしていただければ幸いです m(__)m
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Re: 発音~リエゾンについて ( No.2 ) |
- 【日時】 2007/10/18 23:26
- 【名前】 hangul100
- (別の掲示板で読んだことですが)
本来の意味のリエゾンは複合子音(二重パッチム)のことを言うんじゃないですか? 小辞典の例文を見ても、リエーゾンというのは、n挿入のように表記上表れない ものではなくて、文字では書かれても発音されないものを言うようなので。 n挿入もリエゾンの一種かも知れませんが、 リエゾンをn挿入の別称という解説は定義上、間違ってるような気がします。
>>こういうこじつけた授業と言うか教え方、大大大ッ嫌い、なダン吉でした。
趙義成氏の語基の説明を読んだ後に、ㅎ変則は、公式的な見解では 第Ⅰ語基でもㅎが落ちる時があると知った時に、私も同じような感想を持ちました。 でも現在では、ㅎ変則でも第Ⅰ語基はそのまま語尾をつなげると覚えておいて 実用上は、ほとんど問題ないようですね。 漢字音の対応も韓国語→日本語は大部分対応関係がありますが、 ご指摘のように日本語→韓国語は、あまり対応してませんね。 あきらかな間違いは困りますが、憶えやすいように工夫したという場合は 評価しても良いのかなと思います。
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Re: 発音~リエゾンについて ( No.3 ) |
- 【日時】 2007/10/19 09:21
- 【名前】 冒険ダン吉
- ※ マスター氏 & hangul100さん 有難う御座いました。
この最初の質問を韓国人が読んだら呆れてしまうかもネ。 ・こんな些細な事考えた事もないでしょうから⇒そう言うからそう言うんだよ!!だな。 ・昔、ある韓国人にメモ書きで質問した際、後ろに(ㅂ不規則)と各個書きしておいたら「これ何?」と言われた事があった。 ・余りにも当たり前すぎて、もしかしたら語基概念と同じくパッチムも規則~不規則活用概念も韓国人の意識内にはないのかも
は置いといて-
①ウイキペディアの「リエゾン」の項ではフランス語のそれ、英語のそれで意味が微妙に異なっているかのように読める。では韓国語では・・・。
②ダン吉の頭内コンピューターでは第一をリエゾンとし、第二は「表記と発音が異なる例の内の一種」の引き出しに入れている。
マスター氏は第一と第二の両者を含ませている。 hangul100さんはまた別の見解を持っている。 いや~三者三様を絵に描いた見たい。
③これは「으語幹」の不規則な変化を ・規則活用の例外とする立場が大勢を占めている、のでこれに従う。 ・不規則の仲間に入れたほうが整理しやすいので「不規則活用」にしている。(ダン吉) のと同じ ・これら「自分が勉強しやすいように~」で問題なし(他人に迷惑をかける事でもないしするから) 但し-試験問題に出たときには困るネ~、こんな問題は出ないか!?
④本件は「未解決事案」の引き出しに収めます。有難う御座いました
※追伸 第Ⅰ語基でもㅎが落ちる時があると~ これ~どう言う~? 그렇다⇒第Ⅰ語基그렇⇒그러습니다となるケースがある。と言う事でしょうか?
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Re: 発音~リエゾンについて ( No.4 ) |
- 【日時】 2007/10/19 01:20
- 【名前】 hangul100
- 冒険ダン吉さん、お返事ありがとうございます。
やはり分かりにくかったですね。
リエーゾンに関しては、第一の意味(連音化)と 第二の意味(n挿入)のほかに 없다 とか앉다 とかパッチムが二つあるものも ありますよね。これに어요(아요 )がつながると 없어요 앉아요となり、もともとは発音されなかったㅅやㅈ が 現れます。リエーゾンに関して論議した掲示板をみると この現象が韓国語の中では一番リエーゾンに近いのでは という結論になっていました。
네は第Ⅰ語基につく語尾ですが、 ㅎ変則は例外で 그러네요などとㅎが 落ちるとされています。しかし実際には 그렇네요とㅎを落とさないで書くことの方が 多いようです。
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Re: 発音~リエゾンについて ( No.5 ) |
- 【日時】 2007/10/19 09:29
- 【名前】 kajiritate webmaster
- hangul100さん,ダン吉さん,書き込みありがとうございます(^^)
「リエゾン」という用語については2つの意味で使われているとばかり思っていましたが, さらに他の考え方があったとは!! hangul100さん,ありがとうございます!
結局,3つの意味で混同されるおそれがある,ということですよね...(^^; 混乱を避けるため,「リエゾン」という言葉は今後使わないようにしようと思います.
그렇다が活用するときㅎが落ちることがある,という説は,「그렇다」によく似た言葉で「그러다」というのがあって, 意味も形もそっくりなのでごっちゃになっているんじゃないかなぁと思います.
2つのことばの意味の違いについては「韓国語中級文法」というサイトで公開されているPDFファイルのうち, 「第1章~第3章」ファイルの第1章の冒頭で出てきます.説明は簡潔でとてもわかりやすいです. http://www2.tok2.com/home/chuukyuu/
語基式で示すと2つの単語は次のように活用します. 「그러다」は第Ⅲ語基の場合が特殊で何活用と呼べばいいのか分かりません...(^^;
그렇다(形) [Ⅰ]그렇- [Ⅱ]그러- [Ⅲ]그래- (ㅎ変則活用) 그러다(動) [Ⅰ]그러- [Ⅱ]그러- [Ⅲ]그래- (?)
私としては,「그러네요」は「그렇다」が活用するときㅎが落ちたと考えるよりも, もともとㅎがない「그러다」の活用形だと考えたほうがわかりやすいのですが,いかがしょうか... 実は私もこの2つの区別がよく分かりません...(^^;;;
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Re: 発音~リエゾンについて ( No.6 ) |
- 【日時】 2007/10/19 10:25
- 【名前】 冒険ダン吉
- ※真夜中の発信ご苦労様でした※
大勢はLの挿入をもリエゾンとしているみたいですネ。
ダン吉は「表記と発音とが異なる例」ファイルの中で、 ①音の長短-から始まり ②リエゾン:もともと発音されていたパッチムが아요/어요の後続により次音の初声となる(먹다 ⇒ 머거요) 겹받침の子音⇒「左が残り右が次音の初声になる」(앉다 ⇒ 안즈세요)
この両者「区別せず対等」に扱っています。
③ず~っと進んで「Lの挿入」の項目(기쁜일⇒기쁜닐) この項目名の横に(これをリエゾン現象、としている立場が大勢)という一行を追加しました。うっ、素直な僕!! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ マスター氏
ダン吉所持の辞書には「그러다 ⇒그렇게 하다の略語」とでています。従って、그래요となってもおかしくは無いんでしょうが「ㅎ」の変則活用とは言いにくいですな。
話は変わりますが「크다」⇒動詞のそれと形容詞のそれとがある、等という事を知ったのは数年前。その直前に勉強を止めていたら出会わなかったわけで・・・。
当然連体形の型も異なり、=키가 크다= 形容詞ならば「키가 큰 背が高い」 動詞ならば「키가 크는 背が伸びる」とはネ!!
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Re: 発音~リエゾンについて ( No.7 ) |
- 【日時】 2007/10/23 08:42
- 【名前】 うにうに
- 今から出かけるので,あとでゆっくり書きますが,とりあえず最低限気になったこと。
>ニ三日前、某国営放送が次のような授業をしていやした。
>大⇒다 이⇒대 愛⇒ 아 이⇒애 開/改⇒가 이⇒개 内⇒나 이⇒내 >の様に『아と이が連続する場合、その結合が韓国語の漢字語の読みに等しい事がある』 >と言う事でがした。 >じゃ~、第⇒다 이⇒제 最⇒사 이⇒ 최 はどうなるのさ~。 >『等しくない場合もあります』というんでげしょ~な!
>こういうこじつけた授業と言うか教え方、大大大ッ嫌!!
朝鮮語の漢字音と日本語の漢字音はどちらも,中国語の発音が朝鮮式・日本式に変化して(なまって)できたものですから,共通点があります。 無関係のものを無理矢理関連づければこじつけですが,これはもともと関連があるのですから,それを解明して説明するのはこじつけには当たらないと思いますが。 「dictionary→字引く書なり→辞書」のような語呂合わせだったら,確かにこじつけでしょう。 菅野先生の『朝鮮語の入門』でも日朝漢字音の対比についてそれなりのページ数を使って説明しています。
また,言語の変化は最初に法律のようなルールがあって起きるわけではなく,人々が使っているうちに自然に起きるのですから,あらゆる場合に100%あてはまるとは限らず,いろいろと例外が生じるのも,当然のことです。
「等しいことがある」からといって,「常に等しい」とは限らず,ふつうは言外に「等しくないこともある」が含まれるんじゃないかなと思いましたが,まあこの辺の感覚も違うのでしょう。 本題のリエゾン(n挿入)については,またあとで書きます。
#元の書き込みでは「こじつけ」の根拠を求めていたのですが,わざわざ別スレッドを立てられた上に,私がそういったらそうなんだ,式の説明がありましたので,削りました。要するに「こじつけ」という日本語の受け止め方の個人差ということでしょうか。
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Re: 発音~リエゾンについて ( No.8 ) |
- 【日時】 2007/10/23 02:26
- 【名前】 うにうに
- >「リエゾン」という用語については2つの意味で使われているとばかり思っていましたが,
>さらに他の考え方があったとは!!
ちょっとまとめてみましょう。 1. 終声の初声化 例:달이→다리 2. n挿入 例:여기요→여기요(n挿入なし);그럼요→그럼뇨(あり) 3. 二重パッチム(キョッパッチム)のうち一方が,子音の前では脱落し,母音の前では両方発音される現象(以下略して「二重パッチム」と呼びます) 例:없다→업따;없으면→업쓰면
リエゾンの定義を,趙義成先生のサイトでまとめられているように (A)「単独の発音では現れない音が,ある種の音的環境の下で現れる現象がリエーゾンである。」 とするならば,確かに1.は,単独の発音でも(発音が多少変わることもあるけれど)終声として現れているわけですから,少し違うかなという気もします。また,フランス語ではこれに相当する現象を指すアンシェヌマンという用語があるのですから,あえてそちらを捨てて,微妙に意味の違うリエゾンを借りなくてもいいような気がします。 2と3は,この定義に当てはまりますね。
ところで,フランス語の場合は,正書法として 「たとえ単独では現れない末尾の子音であっても,リエゾンするときに備えて,一応書いておく」 というルールがあるわけです。 たとえば,単独で発音すれば,「レ」「アミ」だけれど,つなげると「レザミ」なので,lé amiなどとしないでles amiとするとか。(細かい話ですが,leだけだとルなので,アクサンを付けました)
#本当は,「リエゾンするときに備えて,一応書いておく」のではなくて,逆に「昔はlesと書いてレスのように末尾のsも発音していたのだけれど,単独で発音するときは語尾の子音が退化して,読まなくなった」のかもしれません。 #でも,結果的には「リエゾンに備えて一応書いている」ように見えるってことで。
そこで,(A)の定義をもう少し狭めて, (B)「単独の発音では現れない音が,ある種の音的環境の下で現れる現象がリエーゾンである。ただし,正書法の上で『現れない音』も表記している場合に限る。」 というふうに限定すると,2番のn挿入は,正書法では何も書かないことになっているので,この定義から外れます。 3番の二重パッチムはこの定義に当てはまります。
しかし,正書法はまた別の問題として,とりあえず発音の方だけで定義すれば,n挿入も入りますね。 (ただ,n挿入と二重パッチムの両方をリエゾンと呼んでも,あまりメリットはなさそうですので,n挿入をリエゾンと呼ぶ場合は二重パッチムは「終声規則」の一部として扱い,リエゾンからは外して考えているのでしょう。)
リエゾンを二重パッチムとする考え方にも一理あります。 ただ,確かに厳密なのかも知れませんが,一方で,かえって違和感を覚える部分もあるのです。 というのは,次のような例だと,末尾の子音ではなく,その1つ前の子音が復活しているからです。フランス語ではこういうことはありません(よね?)。 닭[닥]/닭이[달기], 삶[삼]/삶이[살미] また,終声規則の中であえて二重パッチム(の一部)だけをわざわざリエゾンと呼ぶ必要性があるのかなという気もします。
そんなわけで,個人的な感覚としては,n挿入の別名として使うのがまあ自然かなという気持ちです。 ただ,ここのような,いろいろな学習者のいるところでは,あまり使わない方がいいのかもしれません。
『韓国語教育論講座』第1巻の野間秀樹先生の論考によると,「終声の初声化」の意味で最初に使ったのは1976年の梅田博之先生の本のようで(はっきり最初とは書いてないですが),「仮にリエゾンと呼ぶことにする」と書かれているとのこと。 おそらく,今言われているような,リエゾンという術語の厳密な検討を経たわけではなく,とりあえず借りてきたのでしょう。
その野間先生の記事では 「学習者が言語事実と術語との関係を把握さえしていれば,どれを用いてもそう問題はない。他の術語で学んだ学習者との違いだけが問題になるだけである」 と結論づけています。 ただ,掲示板などでのやりとりでは,まさにその「他の術語で学んだ学習者との違い」が問題になることもあるでしょう。
長くなりましたので,n挿入の起きる条件については,また記事を改めて書きます。
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Re: 発音~リエゾンについて ( No.9 ) |
- 【日時】 2007/10/23 06:57
- 【名前】 hangul100
- うにうにさん、精密な検討ありがとうございます。
個人的な印象では、 リエゾンというのは発音されなくても 単語に含まれているもので、 n挿入は、反応(はんおう→はんのう)などの 変化に近いような気がします。 (辞書には連声とでてましたが。) 以下ヤフーディクショナリーから引用します。
れん‐じょう〔‐ジヤウ〕【連声】
《(梵)sandhi(sadhi)の訳》二つの語が連接するときに生じる音変化の一。前の音節の末尾の子音が、あとの音節の頭母音(または半母音+母音)と合して別の音節を形成すること。「三位(さんい)」を「さんみ」、「因縁(いんえん)」を「いんねん」、「今日(こんにち)は」を「こんにった」という類。
リエゾン【(フランス)liaison】
1 フランス語などで、通常は発音されない語尾の子音字が次に続く語の語頭母音と結合して発音される現象。連音。
しかし何より、フランス語のリエゾンと同様の現象は パッチムを二つ並べれば現せるのに (これを知った時は、とても感心しましたし、 この文字が偉大な文字と呼ばれる理由の一端に触れた 気がしました) リエゾン=n挿入の別称とされてしまうと ただでさえ覚えにくいと初心者を悩ませる二重パッチムの立場が 無いじゃないかと思いました。 ただリエゾンと言う単語自体は、韓国語の音韻を説明するのに 敢えて使わなくても良い用語ではないかとも思います。
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